パラアイスホッケーにおけるスポーツ活動再開ガイドライン
Ⅰ 基本方針
新型コロナウイルス感染症対策は、個人防衛、集団防衛、社会防衛の3つの見地から考える必要がある。日本パラアイスホッケー協会は、“選手・コーチ・監督・スタッフを守る、観客を守る、選手・コーチ・監督・スタッフ・観客が感染クラスターになることを防ぐ、日本のスポーツ文化を守る”という視点から新型コロナウイルス感染症に対する対策・対応を行うことが重要であると考えている。
Ⅱ トレーニング再開に向けた準備(選手・関係者への対応)
1.パラアイスホッケー選手に特徴的な感染リスク要因
- ハードなトレーニングと緊張
- 集団での移動(飛行機・バスなど)
- 団体で行うコンタクトスポーツであること
2.選手および組織に求められる感染予防対策
- 選手本人だけでなく、選手と頻繁に接する人も同様の対応が必要。特に、関係者や家族を含めた対策の徹底が重要である。
- クラブチームごとに安全管理担当者を特定し、以下に示すルールと推奨事項が遵守されていることを確認する。担当者は、ガイドラインの更新・変更について、政府が発信するウェブサイトを定期的にチェックする。
- 推奨事項がすべての選手に伝達されると同時に、安全管理担当者と参加者が適切にトレーニングされていることを確認する。
a) 日常生活
感染経路の特定のため行動記録をつける
- 体温計測(起床時、就寝前など決まった時間での体温記録)
- 問診票チェック:倦怠感、咳、咽頭痛、食欲低下の有無、睡眠時間など)
- 訪問した場所と時刻
- 濃厚接触に該当すると思われる人の氏名、人数など
日常生活では中性洗剤(石鹼)による手指の洗浄、もしくはアルコール消毒をこまめに行い、外出時はマスクを装用し、前後、左右で身体的距離(2m)を保ち、公共の交通機関はできるだけ避ける。3密(密集、密接、密閉)を回避し、対面での食事を避ける。
b) トレーニングを行う環境
1. 施設の空調・換気状態の把握と環境消毒(施設責任者に依頼)
- アリーナ・ロッカールームの空調・換気状態の把握と給気能力の増強や加湿
- 空気のよどみを最小限とするような換気・空調システムの見直し
- 氷上の区域毎に出入り口(フェンスの扉)を分ける。
- ロッカールーム、ベンチ、トイレなどにおける環境消毒
高頻度接触面に対して次亜塩素酸ナトリウムを用いて環境消毒を行う。
2. ロッカールームでの濃厚接触の回避
- ロッカールームの利用は小グループ毎とする(1.5~2m以上、人・人間隔がとれるように配置する)。
複数のロッカールーム使用・時間差を設けて使用する。
3. 衛生管理
- シャワーはホテル(自宅)で浴びる。
- 水分補給のボトルは各選手の管理として共用しない。
- 補食前の手指消毒を徹底する。
- タオルは共用しない。
- 握手やハグをしない。
- アリーナでつばをはかない・鼻をかんだティッシューの管理を徹底する。
- 咳、くしゃみのエチケットの徹底
- 使用後のトレーニング機器は消毒剤を用いて消毒する。
- 各練習終了後にスレッジ、スティック、ヘルメット、防具の消毒管理を徹底する。
- 各練習終了後に衣類(ジャージ、パンツ、ソックス等)を高温洗浄する。
- 使用した防具類をロッカールームで乾燥させる場合には、除菌スプレー等による消毒を徹底してから行う。
4. スタッフ
- 治療等で接触する場合、手袋、マスクを着用、行為前後での手洗いを徹底する。
5. 宿舎(ホテル)での感染対策
- 個室を基本とする。
- マスクを付ける
- 食堂では距離を空けて席を作る。
c) トレーニング再開前のチェック
体調のチェック
- すべての選手・スタッフが主会場(アリーナ)に到着した時点で、体温、問診チェックを行う。
- 体重、体温、心拍数、酸素飽和度、風邪症状、疲労感の有無
- 気分が悪い選手は隔離して検査を行う。
- 検査で異常が見られた場合、当ガイドライン(Ⅱ f) ②)に従う。
d) トレーニング再開時における注意事項
- 原則としてトレーニング時間は最大60分とし、最初は80%の強度から始める(免疫機能が低下することを防ぐ)。
- ボディチェック、ボディコンタクトの禁止
- 練習中もソーシャルディスタンスを確保できるようなドリルを選択する。
- 選手が列に並ぶ必要の無いドリルを選択する。
- 作戦ボードを使った練習の説明は最小限にとどめる。
- 5:5にこだわらず、4:4、3:3に変更することを検討する。
- フルフェイスバイザーを装着することを検討する。
その他注意点
1. フィジカル面
- リトレーニング期には熱中症など重篤なリスクが増大するため、暑熱順化への対応が重要。
- ケガのリスク、免疫機能低下のリスクあり、激しい運動による免疫機能低下は可能な限り避ける。
2. メンタル面
- 長期のディトレーニング期間(トレーニング中断期間)が続いており、気持ちが先走って身体が思うようについていかず、ケガにつながる可能性あり。
3. 栄養における注意事項
- 当日トレーニング実施前に「食事を済ませ、水分補給を行うこと」「補食の準備」「水分補給の準備」ができているか確認する。
e) 試合での注意
- 試合のリスク評価を実施する。
- 疾患徴候や症状を訴えた人に対する隔離策を含む緊急対応計画を事前に作成する。
- 感染予防対策を徹底して行う。
- 無観客の試合を検討する。
- 選手/保護者からの承諾を得る(一定の感染リスクあることを承知した上で参加することを承諾)。
- ハイタッチをする場合はグローブを付けたまま、または肘で行う。
f) 体調不良者に関する情報共有による危機察知体制の構築
1. 選手および家族も含めたチーム関係者に疑い例が出た場合の対応
- 検温で37.5度以上の場合(原則的に解熱剤は使用しない)は必ず安全管理担当者に報告することとする。
- 発熱:37.5度以上が2日間以上持続した場合は、チームから離れ、安全管理担当者と相談の上、下記のような対応を行う。
- チームドクターに報告。チームドクターから各地域の専門家チーム、連携医療機関へ連絡。
- 各地域の専門家チームのアドバイスに基づく濃厚接触者の洗い出し、濃厚接触者の抽出および集団発生に対するリスク管理
- PCR検査および医療機関受診対象者の確認
2.選手および家族も含めたチーム関係者にPCR検査の結果、陽性反応が出た場合
- チームドクター、専門家チーム、アドバイザーに相談する。
濃厚接触者の抽出および集団発生に対するリスク管理
- 医療機関受診の対象者の確認
健康チェック表、自覚症状を確認の上、医療機関受診対象者の確認
理事会と今後の方針を相談
陽性反応だった本人は入院または自宅待機、濃厚接触者も自宅待機。
その他の選手やチーム関係者は原則、チームの動きに従い、チームは予定通りに試合・練習をする。
参考
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策としてのスポーツ活動再開ガイドライン:日本スポーツ振興センター・ハイパーフォーマンススポーツセンター.2020年5月22日
- 【提言】日本野球機構・日本プロサッカーリーグにおける新型コロナウイルス感染症対策.2020年3月12日
- 安全にアイスホッケー活動に戻るためのロードマップ 国際アイスホッケー連盟.2020年5月
パラアイスホッケーにおけるスポーツ活動再開ガイドラインの各Phaseの考え方