一般財団法人日本パラアイスホッケー協会及び加盟団体における倫理に関するガイドライン

<趣旨>

 スポーツは、人生をより豊かにし、充実したものとするとともに、人間の身体的・精神的な欲求にこたえる世界共通の人類の文化の一つである。心身の両面に影響を与える文化としてのスポーツは、明るく豊かで活力に満ちた社会の形成や個々人の心身の健全な発達に必要不可欠であり、人々が生涯にわたってスポーツに親しむことは、極めて大きな意義を有している。一般社団法人日本パラアイスホッケー協会(以下「本会」という。)及び加盟団体は、我が国でのパラアイスホッケーの普及振興を図っていくという高い公益性と社会性を兼ね備えた組織団体として、その使命を担っている。

 従って、所属する役・職員はもとより、監督、コーチ、審判員、登録競技者等においては、その社会的な使命や意義を自覚し、常にスポーツの基本であるルール、マナーを守り、フェアプレーの精神に則り行動することが求められる。

 しかしながら、近年、スポーツ界において、人道的問題(指導者の競技選手に対する暴力や各種ハラスメントなど)あるいは補助金などの不適切な処理又は横領など、訴訟にも及ぶ問題が発生していることは、誠に憂えるべき事態であるとともに、自らの組織団体においても十分な留意が必要である。

 このような状況をも十分に考慮し、本会及び加盟団体においては、常に公明正大でかつ健全化を目指した組織体制の整備と健全な組織運営を図っていく必要があり、そのために必要な倫理に関する諸事項をガイドラインとしてまとめたものである。本会及び加盟団体においては、役・職員、指導者(監督、コーチを含む)、主催・共催など関連するスポーツ競技会・行事などに携わる審判員を始めとする運営関係者及び登録競技者等を対象として、倫理や社会規範に関する意識の啓発と問題の発生を未然に防ぐため、次の各事項に照らし、早期に必要な規定の整備を図ることが望まれる。

人道的行為に起因する事項

1.指導者に対しては、講習会・研修会を通じ、自己の役割や責任等を指導徹底することが求められる。

身体的・精神的暴力(バイオレンス)行為等について

役・職員をはじめ監督、コーチ等現場指導者に対しては、講習会・研修会を通じ、自己の役割や責任等を指導徹底することが求められる。

(1)  競技者は競技を行う際、監督・コーチなどの指導的立場にある者は競技者等への指導の際、問題解決の手段として、暴力行為(身体的暴力、精神的暴力、暴言、脅迫、威圧等)を行うことを厳に禁じること。

(2)  組織の運営又は指導をする際に意見の相違などが生じた場合には、信義誠実の原則に従い協議し、相手の人格を尊重して相互理解に努め、円満に解決を図ること。

身体的及び精神的セクシュアル・ハラスメントについて

 本規範においてセクシュアルハラスメント(以下「セクハラ」)とは、自分以外の相手を不快にさせ、当該相手の環境を悪化させる性的な言動のことをいう。当会の役・職員、監督、コーチ等を通じて具体的な教育啓発活動を行うとともに、講習会・研修会等においても周知徹底を図っていくこと。

(1)  安易に性的言動、表現を行うことは、厳に慎むこと。

(2)  親しみの言動、表現であっても、個人によって受け止め方に違いがあることを認識すること。

(3) 本人に悪意がない場合でも、その言動によって相手が不快に感じた場合は、セクシュアル・ハラスメントになることを認識すること。

(4) 性的言動、表現を受けて不快に感じた場合は、無視せずに相手に対して「不快である」旨を、はっきりと意思表示をすること。(※無視した場合は、「受け容れている」と相手に誤解される恐れがある。)

パワーハラスメントについて

 本規範においてパワーハラスメント(以下「パワハラ」)とは、職務上の地位や人間関係などの優位性を背景に、適正な範囲を超えて、身体的・精神的苦痛を与え、または相手方の環境を悪化させる行為をいう。

(1)  いかなる場合においても、以下に掲げる事項に該当する行為を厳に慎むこと。

①  暴行、傷害等の身体的な攻撃を行うこと

②  脅迫、侮辱行為、名誉棄損、暴言等の精神的な攻撃を行うこと

③  隔離、仲間外し、無視等の人間関係からの切り離しを行うこと

④  事実上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、その他妨害行為等の嫌がらせ行為を行うこと

⑤  その他前各号に準ずる言動を行うこと

(2)  パワハラ防止及び排除に日々努めるとともに、パワハラに起因する問題が生じた場合には、迅速かつ、適切に対処すること。

(3)  相談者からの相談に対して適切かつ柔軟に対応するために、相談窓口を設置するなどの必要な体制を整備すること。また、相談窓口を設置する場合は、秘密情報について厳に秘密を保持するものとし、プライバシーを保護すること、相談者が不利益な取扱いを受けないこと、当該相談窓口の対応が公平・公正であること等に十分に留意すること。

アンチ・ドーピング及び薬物乱用防止について

 監督、コーチ等指導的立場にある者はもとより、登録競技者等に対して、徹底した啓発活動を行っていくこと。

(1)  競技能力を高めるためにドーピングを行うことは、フェアプレーの精神に反するばかりでなく、競技者の健康を害するものであり、絶対に行わないこと。本会及び加盟団体においては、これまで以上にアンチ・ドーピングの教育・啓発活動の積極的な展開を図ること。

(2)  本人にドーピングを行った意識がなくても、摂取した薬品などによってはドーピングの対象薬物が含まれている場合もあるため、競技者及び指導者は、ドーピングに関する知識を十分に深めること。

(3)  麻薬や覚醒剤等薬物の使用は、反社会的な行為のみならず、使用した人間の人格をも破壊するものであり、いかなる目的であっても絶対に使用しないこと。

不適切な経理処理に起因する事項

1. 経理処理について

 本会及び加盟団体は、公的な組織であることを認識し、“一般法人会計基準”に基づく基準(経理処理)を作成し、その基準及び各団体の経理規程に則り正しい経理をするとともに、内部牽制組織及び監事並びに外部監査人による監査体制を確立しておくこと。

(1)  経理処理については「日本パラアイスホッケー協会経理規程」及び、その他一般に公正妥当と認められる会計処理に基づき、事業活動におけるすべての会計諸取引を公正、明瞭かつ能率的に行うこと。

(2)  補助金などの取り扱いについては、補助先・助成先のその補助・助成の目的及び経理要項等を遵守の上、適正な経理処理を行い、決して他の目的に流用などをしないこと。

(3)  不適正な会計処理、不法又は不正行為、不祥事等を未然に防ぐため、組織内部における定期的なチェックを行う体制を整備し、また、公認会計士などによる外部監査を受けるようにすること。

2. 不正行為について次に示すような行為は、厳に禁じるよう、罰則も含めて規定化すること。

(1)  組織内外における贈収賄行為、または金銭の横領等

(2)  不適切な報酬、手当、手数料、接待・供応の直接または間接的な強要、受領もしくは提供

(3)  組織内・外における施設、用器具等の購入などに関わる贈収賄行為

(4)  組織内・外における不適切な指導又は監査

各種大会における代表競技選手・役員の選考などに関する事項

 本会及び加盟団体は、各種大会の代表競技選手などの選考にあたっては、選考基準を明確に定め選考結果に疑惑を抱かせることのないよう公平かつ透明性ある選考を行うこと。また、選考結果に対して質問や抗議等があった場合は、速やかに対応するとともに、相手に理解されるよう明快な説明に努めるなど、適切に処理するものとする。

その他、一般社会人としての社会規範に関する事項

 本ガイドラインに示す対象者は、特に、競技会等スポーツ活動に関わる時以外の日常生活においても社会規範としての慣習、道徳、法律を強く意識・励行し、社会秩序の維持に努めるものとする。

<参考>

ガイドラインに基づく基本的な整備事項等

本会加盟団体は、本「ガイドライン」に基づき、以下の事項について整備を図ることとする。

(1)  倫理に関する規程の整備

(2)  本会役・職員倫理規程を参照のうえ、加盟団体における倫理に関する規程の作成や改定等の整備を図ることとする。

(3)  倫理委員会の設置(同委員会規程の整備)
(4)  不祥事予防のための意識啓発活動等の実施

 本ガイドラインは、身体的・精神的暴力(バイオレンス)行為やセクシュアル・ハラスメント等について明記しているが、それぞれの事項の予防対策については、次の例を参考に考慮すること。

<例:セクシュアル・ハラスメントの予防対策について>

・方針明確化のための方法 方針については、諸規則等に明確に規定する。

・意識改革・啓発のための方法 各種大会・行事等の参加者等への指導徹底、研修会の実施等による意識啓発活動を行う。

・相談・苦情窓口の設置のための方法 相談窓口を設置したり、担当者を配置する。また、その設置/配置についての周知徹底をパンフレット等により図る。
・事後の対応方法 理事会で事後の対応を図る。

不祥事発生後の処理

 加盟団体は、不祥事が発生した場合、当該団体が定める倫理規程に基づき迅速かつ適切な処理を行うこと。その際、発生事案の重要性によっては、その内容と経過等について、本会に速やかに報告を行うこと。

改訂記録

 

平成30年5月27日
一般財団法人日本パラアイスホッケー協会及び加盟団体における倫理に関するガイドライン 制定

PAGE TOP